キムチは韓国発祥の食べ物で、野菜を塩漬けにして食べたことが始まりとされています。 今では世界中から親しまれるキムチですが、現在のキムチができるまでには長い歴史が存在しています。 そして、日本も韓国キムチの発展に大きく関与している国の1つです。 今回は、韓国のキムチの歴史を中心に、日本との関係やキムチが韓国で発展した理由などを詳しく解説します。 韓国のキムチ文化について知りたい方には、以下の記事もご覧ください。 日本と韓国のキムチの違いは?韓国の人気キムチや文化も解説 ※韓国のキムチの歴史に関しては複数の意見や説があるため、あくまでも一例としてご参考にしてください キムチの歴史の始まりは4,000年以上も前にさかのぼる 日本で当たり前に親しまれているキムチは非常に古い時代から食べられていたとされており、その歴史は4,000年以上前にさかのぼるともいわれています。 ちなみに今から4,000年前の日本は、縄文時代を表します。 また、キムチの産地として知られる韓国では、今から約1,400年前の7世紀頃からキムチが普及しています。 当時のキムチは現在の辛味が特徴的なキムチではなく、野菜を塩に漬ける方法が主流でした。 長期保存を目的としたシンプルな味が、キムチ文化の始まりとなっています。 韓国キムチの歴史の3つの転換点 韓国の食べ物といえばキムチを連想する方も多いですが、韓国=キムチとなるまでには、長い歴史がありました。ここでは、韓国のキムチの長い歴史を、キムチにまつわる3つのキーワードとともに簡単に辿っていきます。 ①:「沈菜(チムチェ)」が登場する ②:「唐辛子」が普及する ③:「キムジャン」文化が定着する ①:「沈菜」が登場する 今から約800年前に、キムチの原点と考えられる「沈菜(チムチェ)」が登場したとされています。なお、800年前は朝鮮半島が高麗時代、日本が平安時代の頃です。 沈菜とは、塩漬けした野菜にニンニクや生姜を加えて漬け込む、現在のキムチの原型ともいえる食品です。 当時の文献「高麗史」や「東国李相国集」には、祝い事のお供え物として沈菜が記されており、すでにキムチが生活の一部として使用されていたことが分かります。 また、東国李相国集には塩漬けだけでなく、味噌や醤油を使った「醤漬け(チャンアチ)に関する記述も見られています。800年も前から調味料を活用した野菜の保存食文化が発達していたことが伺えるでしょう。 さらに、大根を丸ごと漬け込んだ「トンチミ」に似た食品もこの頃から登場しており、食のバリエーション豊かな環境が想像できます。 ②:「唐辛子」が普及する 韓国のキムチに唐辛子が使われるようになったのは、16世紀以降といわれています。16世紀は朝鮮時代の中期を指し、日本は室町時代から安土桃山時代に当たります。 朝鮮半島に伝わった唐辛子は、すぐにキムチに用いられたわけではありません。唐辛子入りのキムチが普及するまでには、100年以上の時間がかかったとされています。 その後、18世紀に書かれた農業や生活の知識をまとめた「増補山林経済」には、唐辛子を使ったキムチの記述が見られるようになります。唐辛子が庶民の食生活に広まり、塩漬けのキムチから変化していく様子が伺えるでしょう。 唐辛子が発展したことで魚介の臭みが軽減できたりキムチの保存性や風味が向上したりなどの変化がありました。なお、当時は飾りつけ程度に糸唐辛子が使用されており、本格的に唐辛子を味付けに使い始めるのはもう少しあとの時代です。 唐辛子が導入される以前は、辛味付けに山椒、赤い色出しにケイトウの花が使われていたとされています。唐辛子の登場は、キムチの進化において大きな転機となったといえるでしょう。 ③:「キムジャン」文化が定着する 18世紀中頃には、韓国の上流階級のあいだで寒い冬に楽しむための大量のキムチを漬ける「キムジャン」が始まりました。 白菜キムチの普及に合わせてキムジャン文化は庶民にも広がり、19世紀半ばには家庭の恒例行事として定着しました。 20世紀には、人々のキムチの好みがより辛い味へと変化していきます。 香辛料の辛味を求める声とともに、飾り程度に使われていた糸唐辛子が粉末状で使われるようになります。 粉唐辛子の導入によりキムチの保存性が高まり、キムジャン文化が社会全体に浸透するようになりました。 南部地方で好まれた粉唐辛子入りの赤いキムチが朝鮮戦争の影響で北の地方へと広まり、少しずつ全国に浸透していきます。赤く染まった大根キムチの代表格である「カクテキ」もこの頃流行ったとされています。 徐々に、長く親しまれた塩漬けの白キムチから、赤いキムチが主流となっていきました。 現代ではキムチといえば白菜キムチを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし白菜キムチの歴史は浅く、19世紀末の韓国の料理書「是議全書」で初めて名前が登場します。 是議全書ではサザエやテナガダコ、梨などの豪華な食材が使われています。キムチづくりの材料が少しずつ豪華なものに変化した様子が伺えます。 韓国キムチの歴史には日本も大きく関わっている 韓国キムチの味に欠かせない重要な素材の「唐辛子」が韓国に伝わった経緯には、日本が深く関わっています。 唐辛子は、16世紀頃に朝鮮半島にもたらされたとされています。朝鮮半島へ伝わったルートにはいくつかの説がありますが、とくに有名なのが「豊臣秀吉の朝鮮出兵」の説です。 豊臣秀吉の率いる軍は、1592年に朝鮮半島に出征したといわれています。 出征の際、兵士たちは寒さ対策に唐辛子を靴の中に入れていたという逸話が残されており、この出来事をきっかけに日本から朝鮮半島に唐辛子が伝わったと考えられています。 今ではキムチづくりに欠かせない唐辛子は、歴史を辿ると日本との深い関わりがあることが分かります。 現在の唐辛子をふんだんに使うキムチは、日本の影響がなければ誕生しなかったかもしれません。 中国の古い書物にもキムチの元祖が登場する 紀元前8世紀から11世紀頃の中国最古の詩集とされる「詩経」には、「きゅうりで菹(ジョ)を漬ける」の記述があります。 菹を漬けるとは野菜の塩漬け、すなわち漬物を表す言葉です。 さらに、西暦200年前後の後漢王朝末期頃に出された辞典「釈名」には、「菹は野菜を塩漬けにして乳酸発酵させた食品」との記載も見られます。 現在のキムチにつながる食文化がすでに存在していたことが伺えるでしょう。 キムチの先駆けとなる野菜を漬けて食べる文化は、やがて朝鮮半島の古代王国である百済に伝わりキムチの基礎が根付いたと考えられています。 なお、当時の漬物は漬け汁ごと味わうキムチではなく、塩漬けにしたあとに水で洗ったり絞ったりして食べていたようです。 韓国キムチは、日本や中国との文化の交流をするなかで、少しずつ現在の形へと進化を遂げたといえるでしょう。 歴史あるキムチが韓国で発達した理由 キムチが韓国で発展した背景には、韓国の自然環境や食文化が関わっています。 韓国では古くから農業中心の暮らしが営まれており、厳しい冬の栄養を補うために野菜を保存食として活用する風習がありました。 生野菜を長期保存し、冬でも食べられるようにする実用的な方法が、現在のキムチの基礎となっています。 また、海に面した韓国は魚介類が豊富に手に入ることから、塩辛を保存食として楽しむ文化も発達していました。アミやタチウオ、カキなどの塩辛は、キムチにコクや旨味を加える重要な材料です。 塩辛を取り入れたキムチは、18世紀後半に登場しています。 書物「京都雑志」には、アミの塩辛に水を加えて熱した汁をこし、白菜や大根などの野菜と魚介類、唐辛子、ニンニクなどを加えて漬ける方法が記されています。 旨味豊かな塩辛入りキムチが注目され始めたことで、シンプルな風味のキムチから現在の多彩な風味のキムチへと進化していきました。 韓国キムチは、韓国の気候や地理、食文化などの要素が合わさり誕生したと考えられます。 キムチの名前の由来は「チムジ」から 「キムチ」はもともと、中国の塩漬け野菜を意味する「菹(ジョ)」と呼ばれていました。 その後、高麗時代の朝鮮半島で「漬」を「ジ」と呼ぶようになり、次第に「沈漬(チムジ)」「沈菜(チムチェ)」と変化します。 沈菜は、塩に漬けた野菜から出た水分に浸っている様子から名づけられたとされています。 チムチェの呼び名はヂムチェやキムチェに変わり、最終的に「キムチ」に定着しました。 名前の由来には諸説ありますが、キムチの名称は味付けの変化とともに、長い歴史の中で少しずつ形が変わっていったことが分かります。 歴史の深いキムチは世界中から愛される食品に 長い歴史を持つキムチは、韓国で親しまれるだけでなく世界中で愛されるグローバルな食品へと進化を遂げています。 日本でもキムチの人気が高まり、1980年代から2000年代初頭にかけて、生産量が11倍に急増しました。 1999年には漬物の種類別生産量の最も多く作られる種類となり、2002年には約38万トンを超える生産量を記録しています。 近年では、漬物の生産量で割合の高い「醤油漬類」のうちキムチの割合が高く、令和の時代においても人気の高さが伺えるでしょう。 今では、白菜を使った定番のキムチに加え、大根やセロリなどを使用した野菜キムチ、タコやイカを使った海鮮キムチなどさまざまな種類のキムチが世界で親しまれています。 奥深い味わいと発酵食品として腸活の文脈でも人気があり、世界五大健康食品とも言われるなど、今後も注目される食品といえるでしょう。 キムチの健康効果についてはこちらの記事もご参照ください。 キムチは五大健康食品?驚きの効果や健康価を解説 キムチの歴史を思い浮かべながら自宅で堪能しよう キムチは塩漬けとして遥か昔から食べられており、辛いキムチの誕生には日本も関わりがあることが分かりました。 一方で、韓国発祥のキムチと日本人の舌に合うキムチは味付けが大きく変わります。 「日本人の舌に合うキムチを食べたい」とお考えの方は、おつけもの慶のキムチをお試しください。 おつけもの慶では、王道の白菜はもちろん、さまざまな種類のキムチを用意しています。 王道キムチを楽しみたい方には、職人歴40年のキムチ職人のこだわりが詰まった人気商品「慶の白菜キムチ」がおすすめです。 「かながわの名産100選」や「かわさき名産品認定」「第一回 川崎S級キムチグランプリ 初代チャンピオン」に選ばれるほど、美味しさに実力があります。 昔は冬の保存食として活用されていた大根で作る「こだわりの厳選カクテキ」は、ピリッとした唐辛子の辛さと韓国産のアミえびの旨味が楽しめる逸品です。 大根の新鮮なシャキシャキとした食感が楽しめます。 こだわりの野菜や唐辛子を使用したおつけもの慶のキムチを、ぜひご堪能ください。